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男主人公

男主人公(しゅじんこう)とは、フィクション作品(小説・映画・ドラマ・漫画・アニメ・ゲーム等)のストーリーの中心となり物語を牽引していく性別が男の人物・キャラクター。男主人公の役割を演じる者は主役と呼ばれる。

主人公の定義・特性

物語の解釈は受け手により異なる為、万人が納得する主人公を定めることは難しい[要出典]。また、群像劇など主人公が複数いる物語・主人公がいない物語もある[2]。本項では、想定しうる主人公の定義や、主人公にしばしば見られる特性を以下に列挙する[3]。

主人公の機能

語り手

小説等の文学作品の場合、一人称における主体、つまり文章中の「私」を主人公とすることが少なくない。こういった作品では語り手が主人公を務めることがある。ただし、語り手と問題を解決する者が別個の人物に設定されているシャーロック・ホームズシリーズのような例もあり、必ずしも明確に主人公を求めることができるとは限らない。また、稀に主人公自身が読者のミスリードを試みる信頼できない語り手であるような作品も存在する。

行為項

ウラジーミル・プロップはロシアの民話を整理し、登場人物たちを‘敵対者’‘贈与者’‘助手’‘王女とその父’‘派遣者’‘主人公’‘ニセ主人公’の7種の行動領域に分類した。グレマスは‘主体’‘対象’‘恵与者’‘受益者’‘補助者’‘敵対者’の6種の行為項に分類した。これらの構造主義的物語論においては、主人公は他の登場人物たちとの関係、ないし物語上の機能として定義される[4]。

主題の実行者

物語の主題(テーマ)を実行する者が主人公と定義される。例えば冒険活劇において敵対者との対決を迫られた主人公は、しばしば命を賭して己の道徳観や、主人公と価値観を共有する社会基盤を守ろうとする[5]。物語の主題は主人公の行動によって体現され、理想や正義といった目標を実現するための行動こそが物語の主題となる[6]。物語の作者は、主人公をどのように表現し、どのような運命を与えるかによって、主人公が体現する主題に対してどのような考えを抱いているのかを表現することができる[7]。 ただし、作品が掲げる主題は台詞による説明ではなく主人公の無言の行動によって示されるが[6][7]、その解釈は作者の中ではなく作品と受け手の間に成立するため[8]、物語の描き方や受け手の価値観によっては、主題が作者の意図と異なる形で伝わってしまう場合もある[7][8]。また主人公と対立する敵対者たちは、しばしば主人公とは相容れない道徳観や倫理に基づいて行動し[9]主人公が体現する主題を否定する役割を担うが[7]、このような敵対者が体現する主題に共感する受け手にとっては、敵対者が主人公となることもある[9]。 このような主題は必ずしも明確な主張を伴っているとは限らない。例えば少女漫画では、しばしば作者が発するメッセージ性よりも、登場人物同士の関係性を描くことに重きが置かれる[10]。

操作可能なキャラクター

コンピューターゲームでは、プレイヤー自らが主人公の役割を演じる[11]。プレイヤーが操作するキャラクターはプレイヤーキャラクターと呼ばれる。対戦型格闘ゲームなど、ゲームの種類(ジャンル等)によってはプレイヤーが操作可能なキャラクターが複数用意されている場合もあり、そのような作品ではプレイヤーが選択した人物が主人公となる[12]。 二人対戦、もしくはそれ以上のプレイヤーが参加する多人数ゲームでは、複数のプレイヤーキャラクターがそれぞれのプレイヤーにとっての主人公であるという状況が発生する。このようなゲーム作品のメディアミックス展開によって誕生した派生作品や、その影響を受けた作品では、作中に主人公と呼べる人物が複数登場することになる場合もある[12](# 主人公が大量に存在する、または存在しないも参照)。

越境する者

ユーリ・ロトマンは物語世界の空間を内(我々)と外(彼ら)に分け、内・外の境界を越える人物を主人公とした[13]。

感情移入の対象

受け手に自分とは異なる人生を擬似体験をさせることを主眼とした物語作品では、主人公が感情移入や共感の対象となることが求められる[14]。少年漫画では男が主人公、少女漫画では女が主人公である場合が多いが、そうではない場合もある。また主人公は物語の作者が物語を動かしやすくするため、作者の思想や願望が投影されることもある[15]。 感情移入が困難な主人公でも物語が成立する場合もある[14]。

主人公の資質

問題を解決する者

広義のドラマ(問題の発生とその問題の解決)を骨格とする物語においては、主人公は物語の中で解決しなければならない何らかの問題を抱えており[16]、ドラマの終わり近く(クライマックス)で、物語上の最大の問題と対決する役割を担う[17]。 しばしば主人公はこの解決に最も貢献するが(例えば化け物退治の物語において、化け物を倒す)、悲劇においては主人公は困難に打ち勝つことができずに命を落とす場合もある[7]。後者の場合、主人公の失敗や敗北を否定的に描くことによって、問題解決のための手段の誤りやその挑戦自体の虚しさを主題とした物語として理解されることもあるが[7]、主人公の死が当初の目的よりもより大きな意味や価値を生み出す場合など、困難に挑んだこと自体は肯定的に描かれることもある[5]。

特異な才能の持ち主

往々にして活劇の主人公は並外れた人物であり、他の登場キャラクターに比べてずば抜けて高い能力(高い知力、腕っ節の強さ)や特殊な地位や権限などを生まれながらにして持っていたり与えられていたり、あるいは後に身につける場合がある[9]。このような能力や立場が、主人公に与えられた問題や、幾度も降りかかる困難を解決するための手段となる。 全くの素人の状態から物語中で経験を積み重ねることで才能を開花させていく主人公もいる[14]。また一見平凡に見えて、心の優しさや純粋さといった、人をひきつける内面的な魅力を持つ主人公もいる[18]。

何らかの欠落を抱える

主人公自身または主人公の属する環境は、何らかの埋め合わせるべき欠落を抱えており、主人公はそれを回復しようとする[16]。例えば、古今の物語の主人公やそれに準じる主要人物の多くは、両親の一方あるいは両方がいない境遇であることが多い[19]。他にも身分が低かったり、自分の才能に不足を感じていたり、心身の一部に傷やハンデを抱えていたりする場合がある[20]。例えば『ドラえもん』の野比のび太は、他のキャラクターに比べて能力的に見劣りしたりする落ちこぼれの主人公に設定されている[15]。 これらの欠落はしばしば物語中で解決すべき最大の問題そのものであったり[16](# 問題を解決する者も参照)、最大の困難に立ち向かう際に克服しなければならない臆病さや、向き合うことを避けてきた価値観などといった弱点であったりする[5]。このような欠落が、主人公を突き動かす動機や目的となる[16][20]。

善人

善良な心・優しい心の持ち主や、正義の味方など。 物語の主人公はしばしば独自の道徳観や理想、正義感といった信念に基づく行動原理を持っており[5][9][6]、物語の作者が、主人公が体現する主題を肯定的に描こうとしている場合、そのような行動原理は肯定的に描かれる(# 主題の実行者も参照)。自己中心的であったり反社会的な人物が主人公である作品でも、作中で価値ある目標に目覚めたり[5]、ある一面からは正しくないように見えても主人公なりの道徳観や信念を持っていたり[6][9]、主人公の方が人道的見地から肯定される場合がある[15]。例えばヤンキーや暴走族などを主人公とする作品でも、主人公にもいい面や優しい面もあることがアピールされるなど、読者に好感を持ってもらうための描写が組まれることがある[15]。 物語の作者が主人公の行動原理に対して批判的である場合などはこの限りではない[7]。また、『スター・ウォーズ』シリーズの登場人物アナキン・スカイウォーカー(後のダース・ベイダー)のように、物語半ばで悪人(悪役・敵役)と化してしまう主人公も存在する[21]。

主人公の特権

制作者の表明

制作者が登場人物紹介やインタビュー等において断定した人物を主人公とする。また、制作者自らが主人公は二人(もしくはそれ以上)だと表明する場合もある[要出典]。

キャストの順番

日本ではクレジットタイトルのキャスト表示において主役を先頭に表示する慣習があることから、キャストの先頭に表示された人物が制作者が意図した主人公である場合が多いが、演じる人物や役者の格によって主人公役以外のキャストが先頭に表示されることも稀にあり(アニメ『Zガンダム』、『涼宮ハルヒの憂鬱一期以降』、『XXXHOLIC』など)、連続放映の途中回から主人公役以外のキャストが先頭に表示される作品もある(『ガンダムSEED DESTINY』)。また、洋画においては役者のキャリアや、アルファベット順に表記するのが通例であり、この限りではない。

最初に登場した人物

物語の作者は、しばしば導入部で受け手を惹き付けることに最大限の注意を払う[22]。状況説明に時間を割きすぎることは受け手にとって好ましくなく、主人公やそれに準ずる中心人物は早い段階で登場させなければならない[22][23][24]。例えば文学作品であれば多くの場合、書き出しに続く最初の数ページで主人公が置かれている状況が説明される[22]。ただし、演出を優先させた方が効果的な場合などもあり[22]、作者の意図次第によってはこの限りではない。例えば戯曲『ゴドーを待ちながら』では、登場人物らに待ち望まれている中心人物が最後まで登場せず、不在のまま幕を下ろす[25]。

描写の量と質

フィクションにおいては通常、脇役は主人公を引き立てるために配置され、主人公より目立たないよう意識して描写される[26]。このことから受け手は、他の登場人物より明らかに多く描写されている、または優遇されている人物が主人公であると類推することができる。

退場によって物語を終える

受け手は主人公が目的を達成せずに死を迎え退場してしまうと、物語に満足できない[5]。クライマックスにおける主人公の犠牲が仲間の奮起を促すなど、目的の成就に繋がるような場合は別であるが[5]、通常、物語の作者はクライマックス前に主人公を死なせないように物語を進める。ただし主人公が複数存在し、ある主人公が死に至っても別の人物に交代して物語が進行する作品もある。このパターンとしては『炎立つ』のように別の人物が次の主人公になる場合(後述する# 主人公の交代も参照)と、後述する# 主人公が大量に存在する、または存在しないのような場合がある。また、死後の世界を描いている作品では、主人公が物語の最初や途中に死を迎えても、物語からの退場を意味しない(『蜘蛛の糸』『ドラゴンボール』など)。 ゲームにおいてはしばしば主人公(プレイヤーキャラクター)の敗北や死(あるいは麻痺や石化のようなゲームが進行不可能になる状態異常)が主人公の退場を意味し、その場合はゲームオーバーとなる。ただし主人公の復活または交代がゲームシステムに組み込まれており、主人公の死が主人公の不在を意味しない場合は、その後もゲームを続行できる。後者の例としては『ロマンシング サ・ガ2』や『俺の屍を越えてゆけ』などがある。